シスコンが姪っ子を愛するまでの話

突然だが私には愛してやまない姪っ子がいます。

姪っ子は私の姉の娘である。ただ、それを語るにはまず姉のことから話さなければならない。

 

私は姉が大好きで大好きで、姉が結婚するのもつらかった。

本当にいい姉である。喧嘩なんてほとんどしたことない。優しくて周りの人思いで美人で、少し病弱で抜けているのも「あばたもえくぼ」と言わんばかりの魅力的な姉だ。 ※身内の欲目モリモリ

最初に結婚すると聞いた時、「なぜもっと早くに教えてもらえなかったんだろう」と思った。

聞いたときにはすでに決定事項だった。妹は年下だから、こういうときに頼ってもらえない。正直、除け者にされたように感じた。

 

けれど、結婚できてよかったという気持ちも確かにあった。

義理の兄は本当にいい人で、抜けている姉を的確にフォローしてくれるし、人当たりがとてもよい。姉のことを私たち家族を引っくるめて大事にしてくれているのがよくわかった。

同時に、わかる、と納得する、は別モノだなあと実感した。

 

結婚式は結婚を祝う場なのに、姉が家族ではなくなってしまうようで、本当はすごくつらかった。流した涙は喜びではなくきっと淋しさだった。薄情で、自分勝手な妹だと思う。

二次会用に姉へメッセージを考えなければならなかったのだけど、それもできなかった。今にしてわかるが、認めたくなかったのだと思う。不義理を働いてしまったけれど本当に書けなかった。少し後悔している。

 

知り合いのお姉さんが言ってた。

「姉が結婚するって聞いて、私は大丈夫かなって心配だった」

ご心配の通りでした。ちょっとダメだった。

 

でも、家から徒歩10分のところに住んでて、週に3度ほど遊びに来るような近さでよかった。

義理の兄、夜勤のある職業でありがとう。

私から姉を奪いきらないでありがとう。

こんな狭量な義理の妹でごめんなさい。

正直実家に遊びに来すぎて自立しているとは思えない姉だが、そうやって少しずつ私は姉の結婚を受け入れはじめた。

 

そんなある日、姉の体調不良が続いた。

姉の体調が優れないことなんて日常茶飯事だが、ついに妊娠が発覚したのである。

私は怖気ついた。ちびっこが得意ではないからだ。

家族でも親戚の中でも末っ子なもので、ちびっこの扱いには全く慣れていない。なのにあと半年でちびっこが誕生する。

上手くやっていけるんだろうか…?

なぜか、自分の子でもないのにとても緊張した。

 

私の不安をよそに、姪っ子が無事に誕生した。姉も体調が回復するまで時間が経ったが、無事に退院できた。

初めて見た姪っ子はめちゃくちゃ小さく、かよわい生き物だった。まだあまり人間っぽくない。おさるさんと言われるのも納得の見た目だ。

指を近づけると、細い指でそっと握ってくれた。私の人差し指1本を握るのに、姪っ子は指4本を使った。

この生き物は、保護せねば。

まさかの母性の目覚めの瞬間である。

 

姉は、姪っ子とともに産後2ヶ月ほど実家で過ごした。

その間にどんどん姪っ子への愛情が芽生えていった。

かよわい生き物が少しずつ人間の赤ちゃんになっていく。日に日にできることが増えていく。声を出す、動く、笑う、寝返りをする。

姪っ子を好きになって、今ではちびっこを見るだけでほわほわした気持ちになる。姪っ子すごい。

嬉しいことに姪っ子も私を好いてくれていて、私の膝の上に乗せていると、立つなと押さえつけてくる。やんちゃなおてんばさんだ。

日々、どうか健康に幸せに育ってくれと思う。

人の幸せを心の底から願えることがこんなに幸せだとは思わなかった。

 

姉の結婚から数年、姪っ子誕生から1年。

淋しさはあったけれど、それ以上に嬉しいことがいっぱいあった。

たくさんのことを教えてくれてありがとう。

どうか、これからもずっと幸せでいて。