人からもらった仮面で生きる

飲み会得意ですか。
人と話すの、得意ですか。

こんなご時世だから飲み会なんて久しくやってないけど、わたしはどっちも大の苦手です。

こないだ「大人数の飲み会って苦手」とぼやいたところ、母に「昔から言ってたじゃない」と言われた。覚えてなかった。
ダンスサークルにいたから少しは飲み会があったけど、大人数のてんやわんやでうるさくて、たしかにけっこう苦手だった。


なんで飲み会が苦手かって考えたら、いくつか原因があった。
・人見知りの話し下手すぎてしゃべれない
・がやがやうるさい
・一気やコールだののノリがきらい
・酔っぱらいがきらい
・酒がすきじゃない
致命的だ。飲み会に致命的に向いてない。


そんなわたしが飲み会の多い業界に入社してしまったわけです。
1部署目はそこそこ飲み会が少なかったけど、大人数でわいわいすることがあって、そのときはすごい気まずかった。
フロアは一緒だけどふだん仕事で関わらないし、おじさんだし、共通の話題なんて、、、と思っていた。


そのわたしが、ちょっと変わるようなタイミングが奇跡的にあったのだ。
きっかけは、3年目に課の人がガラッと入れ替わったことだ。
最初の課長や先輩2人は全員タイプが違い、仲良くなく、飲み会も形式的な送別会だけだった。つまり、そんなのまったく楽しくない飲み会だ。
それが課長も先輩2人も変わり、後輩も増えた。
その新課長・先輩ズがとにかくおもしろい人たちだったのだ。
みんなおもしろいことが大好きで、飲み会中はずっとケラケラ笑って、一緒にいるわたしもついつい大爆笑。
飲み会っておもしろいんだ!3年目にして大発見。


あともう一つは、部署のお姉様方と仲良くなったこと。
お姉様方とはトイレの鏡前で出会うと、とにかく話が止まらない。
美人なのに変顔もいとわず、動きも話もおもしろくて切れ味がいい。
人見知りのわたしもすぐになじんで、「きゃー○○さん♡」と♡が語尾に見えるくらいのデレデレ加減になってしまった。
特によかったのは、お姉様方全員がサバサバしていたことだった。何ならちょっとおじさんと言ってもいい。
女性にあるいやな感じがまったくせず、だんだんと「こうしゃべったらいいのか」がわかってきたのだ。
(ちなみに、数年後「おじさんになったね、、、」と悲しまれることになる)


高校の担任(前回の文章完成法の方)が授業で言っていたことがある。
「Personという英単語は、語源はPersona(仮面)です。
人は仮面のように何種類もの人格を付け替えている、というのが由来です」
社会人になってこの意味がわかった。
わたしは「飲み会を楽しめる自分」「人としゃべれる自分」という仮面を、まわりの人からもらったのだろう。


いまだに自分で飲み会を開くことはないけれど、声がかかれば前より楽しく参加している。
そのときしゃべっている自分は、仮面なのか素顔なのか。
まあ、楽しければ何でもいいんだけどね。